プロジェクト目標(Project Purpose)
ネパール大震災で被災した障害者または新たに障害者となった人たちが、地域で自立生活を送る上で必要な支援を、ネパールの障害当事者及び政府機関等から受け、生きる希望を取り戻す。
成果1:障害者のエンパワメントに関する知識・技術の向上
ネパールの障害当事者リーダーの、障害者のエンパワメント(ピア・カウンセリング、自立生活プログラム)を実施する上で必要な知識・技術が向上する。
成果2:被災障害者のエンパワメントと自立生活の基盤整備。インクルーシブ社会の実現に向けた支援。
ネパール大震災で被災した障害者または新たに障害者となった人たちが、障害当事者リーダーによるエンパワメント研修に参加し、その一部が介助者サービス等を受けて地域で自立生活を実践する体制が整い、誰もが社会参加し自己実現を図ることができるインクルーシブ社会の実現、又、社会の構成員となる。
成果3:震災の復興プロセスにおける「障害(者)の課題」の主流化
ネパール大震災の復興プロセスにおいて「障害(者)の課題」が顕在化され、ネパール国政府の復興計画・政策・プログラム等に「障害(者)の課題」を加えるために公式な場において議論がなされる。
1. 支援に至った背景:
平成26年5月、イルカ及びCILてくてくの有志がネパール・ポカラ市を訪問した際、ダスキン元研修生アンジャナKC[1]が会計役を務める「自立生活協会ネパール」から、ポカラ市で障害当事者運動を進める上で、日本の自立生活センターから専門的助言や資金的支援を受けたい、との要請を受けた。資金的支援に関しては、活動自体にかかる経費はネパール国内の資金提供者(ネパール国地方自治体政府、国際的支援機関、NGO・ドナー等)を探すなど、自力で確保することができる、とのことであったため、比較的支援が受けにくい恒常的経費(当事者スタッフおよび介助スタッフの人件費、事務所家賃や事務用品等)に対する資金的支援を実施することとし、日本側はJIL九州ブロックの会員CILに支援を呼びかけていくこととなった。また、自立生活協会ネパールの事務局長のヘム・グルンを日本へ招聘し、3ヶ月間沖縄県内のCILで研修を行うことにより、自立生活協会ネパールの自立生活運動を強化することとなった。
平成26年7月、「プロジェクト申請書」「活動計画案」「予算案」が提出され、内容の精査を経て、8月に実施されたJIL九州ブロックのSKYPE会議及び同8月イルカ理事会にて支援が決議された。
その後、JIL九州ブロックの会員CILを中心に支援への参加を呼びかけ、合計12団体の参加同意を得て、平成27年2月「ネパール支援の会九州ブロック」を立ち上げるに至った。同会は独自に規約も策定した。
2. 自立生活協会ネパールが実施するプロジェクト概要:
1) 実施主体:自立生活協会ネパール
2) 実施期間:平成26年9月から(1年更新で継続中)
3) 活動目的:ネパール・ポカラにおいて障害者の社会参加を促進するための障害当事者運動を行う
4) 活動内容:
① 障害者の権利の啓発と擁護:啓発セミナー
② 地方自治体の関係機関等に対するアドボカシー活動
③ 他機関との連携を通じ、教育、多様なサービス、情報へのアクセスを向上させる
④ バリアフリーな環境作りのための行動:バリアフリーチェック、TRY
⑤ 自立生活プログラムとピアカウンセリングの実施
⑥ 介助者の養成 等
5) 支援予算規模:年間930,000ネパールルピー(日本円換算1,007,018円 ※平成26年8月当時の為替レート)
内訳
人件費:当事者スタッフ2名(男女1名ずつ)、介助スタッフ3名(女性2名、男性1名)
事務所賃料
事務所経費:通信、光熱費、交通費、文具、茶菓等)
3. 活動実績・成果
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【9月】 介助スタッフの新規雇用 |
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【9月】 ポカラ女性・子ども局のトイレの バリアフリーチェック (その後も継続的に各地で実施) |
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【10月】 スタッフ対象の 自立生活の概念と運動に関する 情報共有会合(以後、毎月実施) |
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【10月】 郡レベルでの啓発セミナーの開催(以降も各地域レベルで開催) |
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【10月】 資金造成のためのイベント開催: 車いすダンスの披露 |
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【11月】 大学生を対象とした障害に関する啓発セミナー (以降も各地の学校・大学で実施) |
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【12月】 国際障害者の日に式典を主催 |
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【12月】 ピアカウンセリングと 家族カウンセリングの実施 |
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【1月】 自立生活プログラムの実施 |
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【1月】 介助サービス研修の実施 |
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【1月】 自立生活を始めたい 障害当事者のための家探し |
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【2月】 バリアフリーチェックの結果 側道が改修された |
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【2月】 ポカラ女性・子ども局に障害者ヘルプデスクが設置され、事業委託を受ける |
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【3月】 ポカラ・ミニTRYの実施 |
4. 活動資金の送金:
毎月の活動報告書の提出を送金の必須要件とした。
海外送金は手数料が高額に上ることから、半年に1度ずつ送金することで合意した。
ネパール国内の組織に対する海外送金を行う場合、受領するネパール国内の組織が事前にネパール政府に対して申請しておく必要がある。この手続きの経験があることなどから、CILカトゥマンドゥに仲介を依頼し、日本⇒CILカトゥマンドゥ⇒自立生活協会ネパールの流れで送金を行うこととした。
平成27年1月29日付けで、第1回送金4,745米ドル(日本円換算563,611円)を完了した。第2回送金は、平成27年9月以降を予定。
5. ヘム・グルンの自立生活研修実施概要:
1) 実施期間:平成26年12月24日(水)~平成27年3月20日(金)
2) 実施場所:YAH!DOみやざき、CILまんた、CIL南十字星、北部CIL希輝々、CILイルカ
3) 実施目的:沖縄県内の自立生活センターの理念、活動内容について、実地で学ぶ
4) 内容詳細:「ヘムの3ヶ月間の日本研修の最終報告書」参照
以上